腰痛になるマットレス
朝、起きたときに腰が痛い・・・のであれば、マットレスが原因かもしれません。
マットレスは非常にデリケートで、性別、年齢や体型、体重などによって使うべきマットレスは異なるのです。
中でも「マットレスの硬さ」には慎重になるべきでしょう。
自分に合ったマットレスの硬さを選ばなければ、寝起きで腰や首が痛くなっても不思議ではないのです。
この重要性に気づかず、合わない硬さマットレスで寝ているケースは、おおよそ以下の3パターンに集約されます。
マットレスが硬すぎる
寝起きの腰痛で最も多いのは「マットレスが硬すぎる」ケースです。
板の上で寝ている姿をイメージしてください。
体の出っ張った部分しか板に触れないため、そこに荷重が集中してしまうのです。
言い換えると、体圧分散性が悪くなっているのです。
具体的には、重さが腰に集中してしまうので、腰にかなりの負担がかかってしまい、それが腰痛の原因になります。
これは薄いマットレスの場合でも起こりうる現象です。
薄いマットレスは体重が支えきれず、どうしても底づき感が出るので、腰に負荷がかかってしまうのです。
マットレスが柔らかすぎる
柔らかすぎるマットレスも腰痛の原因になります。
柔らかすぎるマットレスでは、最も重い腰部分が沈み込んでしまうため、寝姿勢が悪化します。
いわゆる「くの字」で寝ているイメージです。
就寝中でも直立時同様に背骨のS字ラインを維持するのが理想ですが、柔らかすぎるマットレスでは、寝ながら「中腰」の姿勢になっているのと同じなのです。
これでは腰痛になるのも当然と言えるでしょう。
そして、寝姿勢悪化の結果として、腰だけではなく、肩や背中、膝まで痛めてしまう可能性もあるのです。
マットレスが劣化している
長期間使い続け、寿命を超えているマットレスは、特に腰部分が劣化している可能性が高く、体重を支えきれなくなっているかもしれません。
マットレスの中心部分が凹んでしまっていれば、どうやっても「くの字」の姿勢で寝るため、腰痛は不可避でしょう。
寿命を迎えた劣化したマットレスは、本来の機能を果たせないのです。
腰痛によいマットレスの比較
「腰痛によい」との謳い文句で発売されているマットレスはたくさんあり、いろいろな寝具メーカーでさまざまな商品が取り扱われています。
代表的なものは、機能性が高く、多くのアスリート御用達の「高反発マットレス」です。
その他、「低反発マットレス」「ポケットコイルマットレス」の中にも腰痛改善機能を押し出している商品もあります。
個人的な好みやそれぞれの機能に賛否はあるものの、おおよそこの3種類のマットレスが腰痛対策の代表格と言えるでしょう。
高反発マットレス
腰痛改善マットレスの代名詞でもある高反発マットレスと言えば、その代表格である「雲のやすらぎ」「モットン」「マニフレックス」などが有名です。
近年では、睡眠科学が発達し、理論的な裏付けを持った機能性の高い高反発マットレスが支持されています。
多くのアスリートが機能性高反発マットレスと愛用している事実からも、信頼の高さがわかるでしょう。
その他、非ウレタン系素材でマットレスマット(マットレストッパー)と呼ばれるジャンルの「エアーウィーヴ」なども高反発マットレスに属します。
エアウィーヴは、ファイバー素材を編み込んだ形状から「エア系マットレス」とも呼ばれます。
テニスの錦織圭選手や浅田真央さんが愛用しているマットレスとして人気になっています。
高反発マットレスは高機能
高反発マットレスは、適度な反発力により寝姿勢を正しく維持してくれるので、睡眠中に無理な体勢を強いられなくなります。
また、マットレス自体が持つ反発力により、寝返りもスムーズに促してくれるため、血流がよくなり、疲労回復に寄与してくれます。
このような効果から、腰痛対策マットレスとして、とてもおすすめなのです。
高反発マットレスは、一定の反発力があるため、寝心地はやや硬い印象があるかもしれません。
但し、硬さは商品毎に違いがある上に、好みについては個人差があるでしょう。
同じ高反発マットレスでも性別、年齢、身長、体重などにより、柔らかすぎると感じたり、逆に硬すぎて腰が浮くように感じるケースがあるので、寝具売り場などで実際に当該マットレスを体験して、自分に合う硬さのものを選ぶ方がベターです。
高い反発力と寝返りの打ちやすさは比例する傾向にあります。
つまり、硬いマットレスの方が寝返りはしやすいので、好みの硬さと寝返りのしやすさがバランスしているマットレスを選ぶのがポイントになります。
高反発マットレスは軽量で衛生的
最新の睡眠科学に基づいて作られた高反発マットレスは重量も軽く、扱いやすい点もメリットになります。
女性や高齢者でも簡単に持ち運べるくらいの重量なので、体への負荷はないでしょう。
特に収納を前提に作られている三つ折りマットレスは、畳んだり動かしたりするのが容易で、陰干しなども簡単にできます。
また、自宅で洗えるマットレスも増えてきています。
高反発マットレスは、簡単に陰干しができたり、自宅で洗濯ができたりと、衛生的であるのも優位な点です。
低反発マットレス
低反発マットレスは、柔らかく体を包み込むような特性があり、体圧分散に優れています。
「テンピュール」や「トゥルースリーパー」などに代表されるマットレスで、アメリカNASAの宇宙船研究から生れたスポンジのような素材を使ったマットレスを指すのが一般的です。
体圧分散に優れているものの、素材自体が柔らかすぎるため、重いお尻の部分が沈み込みすぎて寝姿勢が悪くなり、腰に負担がかかる恐れがあります。
また、必要以上に体が沈み込んでしまうため、寝返りがしづらくなります。
寝返りの回数が減ってしまった結果、血液循環が滞ってしまい、筋肉やじん帯の疲労が回復しないとの問題が発生するのです。
商品により柔らかさの違いがあるので、一概には言えませんが、「低反発マットレスは腰痛にはよくない」との意見が支配的です。
その上、常に体とマットレスが密着するので、体から発散される汗の吸湿発散が著しく妨げられます。
元々、通気性が悪い素材であるのに加え、蒸れやすい上に、汗を吸収してしまうので、衛生的にもよくありません。
すぐにカビが発生してしまう傾向にあります。
さらに、低反発マットレスは、素材自体の重量があるため、移動は割と大変です。
その上、洗えません。
汗を吸収したスポンジ素材を干せない、洗えないとなると、カビやダニが不可避でしょう。
ポケットコイルマットレス
ポケットコイルマットレスは、効果的に体を支えてくれるため、腰痛によいといわれています。
しかし、ポケットコイルマットレスといっても、ニトリなどの家具量販店が東南アジアで大量生産している安価なものから、世界的に有名なブランドメーカーのものまで幅広くあり、ひとくくりに評価をするのは難しい商品でもあります。
安いポケットコイルマットレスの場合、コイルのバネの強度が弱くて体が沈み込んでしまう場合や、コイルの数が少なく支えが弱いといった場合もあります。
低品質なポケットコイルマットレスでは、破損したバネが表面を突き破ってしまうケースもあるようです。
しかし、「シーリー」や「サータ」のような上質なポケットコイルマットレスは、しっかりと体全体を支えてくれて腰痛によいともいえます。
ただ、コイルの本数も多く、しっかりとした作りのため、重量はかなり重めで、一人で運ぶのは困難です。
陰干しなどもメンテナンスは簡単ではないでしょう。
清潔な状態を保つためには、ハンディ掃除機でマットレス表面の見えないゴミやダニを吸い取るなどの作業が必須になります。
腰痛に効果があるマットレスはどれ?
腰痛対策マットレスは「高反発」がおすすめ
結論から言えば、その答えは「高反発マットレスの一択」になります。
反発力のサポートによる腰への負担軽減。
正しい寝姿勢のキープ力と寝返りの容易さ。
これらの効果により、血流がよくなり、腰や肩周辺の筋肉やじん帯の老廃物が自然と浄化され、疲労が回復していきます。
このような毎日の小さな積み重ねにより、腰痛が徐々に緩和されていきます。
この機能性は、最新の睡眠科学で証明されています。
さらに、マットレス自体の重量が軽いため、持ち運びが容易で、いつでも陰干しができ、常に衛生的な環境を保てるので、心理的なストレスも軽減されるはずです。
これらを総合すると、高反発マットレスをおすすめする以外の選択肢がなくなります。
高反発マットレスは寝返りが打ちやすい
高反発マットレスの利点のひとつに「寝返りが打ちやすい」点があげられます。
人は寝ている間、無意識に何度も寝返りを打ちます。
右を向いたり、左を向いたり、うつぶせになったり、仰向けになったり、一晩の間に何度も体の向きを変えていますが、これにより血液循環の滞りを防ぎ、その血流に乗せ老廃物を除去して、体の負担を和らげているのです。
睡眠時の人体には、体重分の重さが圧力として接地面にかかります。
圧力がかかっている部分は、血管が押しつぶされるので、当然血流が悪くなってしまい、血液や体液が滞りやすくなってしまいます。
そして血液循環が悪くなると、体の隅々の細胞に酸素や栄養分を届けられず、老廃物や二酸化炭素の回収もできなくなるため、血管に老廃物が滞ってしまい、痛みやハリにつながっていくのです。
寝ている間の自然な寝返りにより、血液循環の改善ができ、痛みの元を解消できる。
この自然な寝返りこそが、腰痛の緩和に不可欠なのです。
人気の高反発マットレス
高反発マットレスはコストパフォーマンスに優れており、扱いやすさの点からみても、おすすめです。
高反発マットレスの中でも人気なのは「雲のやすらぎ」「モットン」「マニフレックス」です。
さらに最近では「エムリリー」なども支持されています。
高反発マットレスは数多ありますが、「雲のやすらぎ」「モットン」「マニフレックス」の中から選択すれば、まず間違いないはずです。
腰痛に低反発マットレスが向かない理由
低反発マットレスは腰痛悪化の原因に
一時期、低反発マットレスが腰にいいと言われていました。
確かに低反発マットレスは体圧が分散されるため、体に負担がかからないように感じるかもしれませんが、柔らかさが最大のウリになっている低反発マットレスでは、腰の沈み込みによる不自然な姿勢は避けられません。
結果、寝返りが打ちづらくなり、血行が滞ってしまい、腰に負担がかかってしまう場合があります。
マットレス上での寝姿勢は、直立状態と同じ姿勢が理想ですが、低反発マットレスでは、これが実現できないのです。
低反発マットレスは血行不良の原因
低反発マットレスで寝姿勢が悪化した結果、なにが起こるのでしょうか。
まず、最も体重のかかる腰部分が沈み込んでしまい、血行が滞ります。
そして、それがじん帯などに波及し、痛みを引き起こすのです。
低反発マットレスは寝返りができない
某公共放送の人気情報バラエティで、東京大学の教授が「柔らかすぎるマットレスは良くない」と明言していました。
理由は「おしりが沈む」→「腰椎が曲がる」→「じん帯が伸びる」→「寝返りが打てない」。
そして、その結果として腰痛になると断言していました。
やはり、柔らかすぎる寝心地の低反発マットレスは腰痛を悪化させる原因になるのです。
腰痛マットレスを選ぶポイント
腰痛に適したマットレスの硬さと厚さ
ニュートンを参考にする
腰痛には高反発マットレスが最適といっても、その硬さはさまざまです。
一口に高反発マットレスといっても、すべてのマットレスが同じ硬さではないのです。
マットレスの硬さは「ニュートン(N)」で表示されます。
ニュートン(N) | 硬さ |
110以上 | 硬い |
75~109 | 普通 |
74以下 | 柔らかい |
100ニュートン前後の硬さのマットレスが一般的ですが、女性や子供、高齢者の場合は少し柔らかめを。
大柄な成人男性は、少し硬めのマットレスがおすすめです。
腰痛マットレスは厚さも考慮する
腰痛マットレスは、硬さだけではなく「厚さ」も重要です。
体重によって最適な厚さは違うので、自分の体型に合ったマットレスの厚さを検討しましょう。
ポイントは「底づき感」です。
薄いマットレスは、体重を支えきれず、床のゴツゴツ感が伝わってきてしまいます。
体重を受け止めてくれる厚みのマットレスを選びましょう。
体重 | カテゴリ | マットレスの厚さ |
100kg程度 | 大柄成人男性 | 最低13cm程度 |
70kg程度 | 一般成人男性 | 最低10cm程度 |
50kg程度 | 女性・高齢者 | 最低7cm程度 |
20kg程度 | 子供 | 最低5cm程度 |
粗悪マットレスの硬さに騙されない
高反発マットレスの構造や素材もそれぞれ異なります。
高反発マットレスは反発力があり、腰やお尻の部分の沈み込みも跳ね返してくれるため、立った状態のような寝姿勢を維持してくれるため腰にいいとされています。
しかし、数千円で売られている怪しい高反発マットレスの中には、最初からウレタン素材の反発力が足りず、カタログ通りの硬さが保持されていない粗悪品があります。
さらに、すぐにヘタってしまう耐久性のない高反発マットレスでは、新品当時の硬さがあっという間に失われてしまうケースもあるのです。
質の良し悪しの確認が大切です。
腰痛マットレスは大きめを選ぶ
マットレスの幅と快眠には極めて強い関係があります。
マットレスの幅が狭いと熟睡しづらくなるのです。
これは睡眠科学の研究の上からも明らかになっています。
その理由のひとつが寝返りです。
マットレスが小さいと、無意識のうちに寝返りを躊躇してしまうため、熟睡につながらなくなるのです。
もし腰痛対策として、機能性の高い高反発マットレスを選択するのであれば、ワンサイズ大きめをおすすめします。
一人寝用でもセミダブルかダブルを。
二人寝の場合は、キングサイズがいいでしょう。
大きめのマットレスサイズ選びで、腰痛改善につながるのです。
マットレスはローテーションをして使用する
マットレスは1年365日、毎日使用するものですので、定期的なメンテナンスが必須です。
特に同じ向きで使用し続けると腰部分だけが劣化してしまうので、マットレスの向きをしっかりローテーションして、偏りを防止してください。
こまめな裏表、上下のローテーションにより、最高の機能が長期間維持されます。
特に腰からお尻の部分は一番体重がかかり、へこみやすくなります。
また、重たい頭の部分も同様です。
同じ位置で寝続けるのはマットレスの劣化を早めてしまう原因になります。